楽園で過ごす至福のひととき

by Julian Ryall
楽園で過ごす至福のひととき屋久島の原生林と野生の動物。そしてバトラーサービス

島の奥地に広がるスギ 原生林へと分け入るト レッキング。スキュー バダイビング。カヌー。 登山。そして永田いな か浜で産卵する少々不格好なアカウミガメ の観察。つい最近まで、屋久島を訪れる理由と言 えば大方その辺りが中心だった。どれもが世界自然 遺産に登録されたこの島を体験する口実に聞こえな くもない。しかし、今やこの島を訪れる理由は素晴 らしい自然だけではなくなった。

緑に輝き、コケにびっしり覆われた地面。そこか らそそり立つスギの巨木。その多くは樹齢数千年を 数える。領域を侵してくるハイカーなど気にも留め ない様子の、お尻が白い鹿。桜の葉の一番いいと ころを争うサル。数千年かけて作り出された峡谷を 駆け下る川の水。その流れの激しさは、ほぼ毎日定 期的に降る豪雨でさらに増す。

article_201003_07 自然保護地域に指定された島の中心部のスケー ルと美しさに、訪れる人は誰もがはっと息を飲む。 sankara hotel & spa屋久島に到着した瞬間も同 じ影響を与えられる。

3月31日にオープンしたこのホテルは、全体が 最新技術で作り上げられている。また、レストラン、 スイートルーム、スパ、プール、ヴィラ等、どこを とっても時間を超越したセンスとエレガンスでデザ インされている。ゲストは、メインロビーに一歩足 を踏み入れた瞬間、その巧みなデザインを感じ取 る。ロビーの大きなドアの向こうには、太平洋が広 がり、地上のものとは思えないブルーに輝くプール がある。

「ここは真にハイクラスな、オーベルジュ型のリ ゾートホテルです」。こう語るのは、同ホテルの代 表取締役、佐藤二郎氏だ。「全体のコンセプトの中 でも、特に料理には力を注ぎました。地元 屋久島と九州では、一流の食材がふんだん に採れます。エグゼクティブシェフとそのス タッフは、そうした食材の風味をフルに活か すことができるのです」。

佐藤氏は、一組のゲストの滞在期間を通 して専任のバトラーを就けるシステムをホテル業界 で初めて導入した人物。sankaraでも同じシステ ムを設けた。sankara(サンカラ)とは「天からの 恵み」を意味するサンスクリット語である。

article_201003_09「お客さまが玄関にお入りになってから、スタッフ がお出迎えをする。これでは順番が違うと思うので す」。と佐藤氏は続ける。「お客さまが動く前に、私 どもが行動する。お客さまのご要望に、事前にお応 えできるように心がけています」。

こうした佐藤氏のポリシーが実を結び、ゲストは、 スタッフの一人ひとりから超一流のホスピタリティー サービスを受けることができるのだ。

24室あるヴィラは、それぞれ全室が森または海 に面したバルコニー付きで、ゆったりとした時を過 ごすのに絶好なバリ島スタイルのデイベッドが用 意されている。これとは別にジュニアスイートが3 室、ヴィラのなかでもっとも大きなヴィラスイートが 1室(まもなくバルコニーにジェットバスが備わる予 定)、そして完全なサンカラスイートが1室ある。

125平方メートルの広さを誇るサンカラスイート は、最高級のスイートルーム。プライベートスパルー ムとスギ林を見わたす露天風呂が備わっている。 内装はシックで、細部にまで入念にしつらえてある。 また各部屋共通のモチーフとして、真ちゅうででき たカニの彫刻が置かれている。

article_201003_08本館にある<ayana(アヤナ)>レストランでは、 シェフ・ド・キュイジーヌの瀬下努氏による朝食とカ ジュアルなディナーが楽しめる。一方、本格的なフ レンチフルコースのダイニング<okas(オーカス) >では、エグゼクティブシェフの武井智春氏による、 お任せ料理が楽しめる。パリのジョエル・ロブショ ン氏のもとで修行した腕前を披露してくれる。ここ には特別な楽しみがもう一つある。武井氏とアシス タントが、一皿ごとに繊細に造り上げている様子を カウンター越しに眺めることができるのだ。これは ちょっと病みつきになるくらい楽しい。

ホテル内では、スタッフのサービスにすべてを任 せるのが一番。この島アドバイスは、エキスパート に任せ、エネルギッシュなアクティビティーを体験 するのことができる。伊藤俊明氏と奥様のあすか さんが経営する屋久島ガイドクラブなら、どんな要 望にも応えるテーラーメードなプランを提供してくれ る。資格を持ったダイバーである二人は、沖合の 珊瑚礁を探索するにも、カメに出会うためにも、ベ ストスポットを知っているのだ。

当然ながら、お客さまの大半はハイキングコース の探索も希望する。とりわけ標高1,936メートルの 宮之浦岳は、九州地方の最高峰だ。

宮之浦岳登山を遠慮することにした私は、代わり に白谷雲水峡に沿って歩く、3時間のトレッキング コースを選んだ。分かりやすいが、時にはチャレンジな小径を辿って、白谷小屋を 訪れ、その後に登山口に戻るコースだ。周囲の森には倒木と巨石が入り交じり、それ らすべてが、この島に生息する400種類ものコケに覆われている。コースの途中で は、樹齢数千年という巨木の真ん中を通り抜ける。地元の人が「屋久島は月のうち、 35日は雨」というほど、屋久島は日本のなかでも降雨量の多い土地として有名で、 森は強烈な大地の香りを放っている。

半日ハイキングコースですっかり硬くなった都会人の筋肉をほぐすのには、 sankaraのスパセラピスト、阿戸亮子さんによる2時間コースに優るものはない。タ イ伝承の技術を学んだ阿戸さんはオーガニックハーブをブレンドし、木綿の布に包ん で蒸したハーバルボールを使用し、全身エネルギーが流れる「セン」に押し当てていく。 これとは別に、様々なボディオイルを用いるコースもある。頭から離れない憂鬱な気 分も、しっかりとした優しいマッサージを受ければ、すっきり晴れることだろう。

The Sankara Hotel & Spa Yakushima
553 Haginoue, Mugio, Yakushima-cho, Kumage-gun,
Kagoshima
Tel: 0997-47-3488
http://sankarahotel-spa.com/en/


Yakushima Guide Club
Tel: 0997-46-3160
www.yakushima-guide.jp


日本エアコミューター(JAC)は鹿児島空港から屋久島空港まで毎日5便を 運行している(所要時間約30分)。羽田空港~鹿児島空港はJALの定期便 がある。なおJACでは伊丹空港~屋久島空港直行便を毎日1便運行している (所要時間約90分)。