“パッシブホーム”普及に向け、 鎌倉に日本初の認定住宅完成

by Alana Bonzi
wifm_winter10_low-48パッシブホーム”とはドイツ の超省エネ住宅基準のこと をいい、この基準を満たし た建物をパッシブホームと いう。ここでいう“パッシ ブ”とは、太陽エネルギーをはじめとする自然エネ ルギーを建築にいかして、省エネに結びつけるテク ノロジーを指す。このテクノロジーを用いて、すでに ある建物を温室効果ガス(GHG)への影響が少ない パッシブホームに改築することもできる。しかし日本 の住宅市場では、最初からパッシブホームとして建 てる方が経済的なメリットが大きい。このほど、建 築設計事務所『Key Architects』を主宰する森 みわ代表とそのチームは、日本で初めてお膝元のド イツから認定されたパッシブホームを鎌倉に設計し た。ソーラーパネル、断熱材、ペアガラス、省エ ネ家電を備えるパッシブホームは環境に与える影響 が少なく、その目指すところはCO2排出ゼロの住宅 である。

温室ガスの排出量を抑える建築を初めて取り入れ たのは、建築家エドワード・マズリア氏が率いるア メリカのNGO『アーキテクチュア 2030』だ。「年間 のエネルギー総消費量とGHG排出量の48パーセン トは建築物によるもので、地球規模で言うならその 割合はもっと大きくなると、アメリカエネルギー省エ ネルギー情報局は説明しています。また、発電所が 生み出す電力の実に76パーセントが建築物を機能 させるのに使われています。こうした数字から明らか なように、危機的な気候変動を回避するには、建 築というセクターで今すぐに行動を起こすべきなの です」と『アーキテクチュア2030』はウェブサイト上 で表明している。

wifm_winter10_low-49ところでパッシブな建物であると認める認定状を 発行するのはドイツのパッシブハウス研究所であ る。実際、この分野をリードしているのはドイツで、 EUも業界を助成する法案を可決した。パッシブな家であるためは、そのテクノロジーと建築に要する 費用も一般の人の手に届く範囲であるのが条件だ し、快適な居住スペースも不可欠だ。

「熱を外に逃がさない改良された断熱材を使え ば、換気システムのような単純な共益設備で屋内 空間を暖かく保つことができます」と森さんは語る。 しかしながら、日本で初めてパッシブホームを建 てるにあたってはこの国ならではの難問もあった。 耐震構造を取り入れる、夏場の極端な湿度にも耐え られる断熱材を採用する、シロアリ対策を講じる、 オール電化の条件を満たす、オープンスペースを 確保するなどハードルは様々。

森さんのチームがこのプロジェクトを完成させ たのは2009年8月のこと。総工費はわずかに 2100万円だった。場所は鎌倉で、118.76平 方メートルの敷地に、建坪93.06平方メートル の木造二階建ての家屋を3カ月で建てた。ちな みに冷暖房に要する電力は1平方メートルあた り15kWh、暖冷房、換気、給湯、照明など すべての消費エネルギーは1平方メートルあたり 120kWhである。

wifm_winter10_low-51「エコハウスといっても、ハイテク装置だらけの家 というわけではありません。アクティブなエネルギー と、パッシブなエネルギーを扱うテクノロジーをうま くバランスさせたのがエコハウスなのです」。森さ んはそう前置きして、こんなアドバイスをくれた。「一 つ一つの装置ではなく、家全体の消費エネルギー に着目してはいかがでしょう」

日本の建築市場にはエコハウスを規定する基準が ないので、海外の評価基準や認定基準を利用する ようにと森さんは勧める。それと原油からできた人 工の建材ではなく、自然の建材を使うようにと注意 を促した。「工務店にも建て主にも、エコロジカルで しかも地元で調達できる建材を利用するように働き かける、これもパッシブな家作りに向けての一歩な のです」