不況でもあせないその魅力とは?女性にとっての一番の友人とい えばダイヤモンド。そのダイヤ を筆頭に真珠、ルビー、エメ ラルドなど数多くの宝石たち。 ジュエリーの美しさとは、そ の多様性にあるといってもいい。バラエティーが豊 富ならその組み合わせ方も無限だが、すべてを完璧 にコーディネイトするのは至難の業。選りすぐりの宝 石を一つや二つ追加する余地は必ず残るのである。 ご多分に漏れず、2009年はジュエリー業界にとっ ても厳しい年だった。しかし2010年には大規模な 展示会が予定されており、宝石ディーラーやデザイ ナーのあいだには消費者の購買意欲が戻るだろうと いう見方もある。景気が底離れしていないのなら、 大手のGINZA TANAKAが3キロもの金塊で富士 山のオブジェを作るなどという賭に出るはずがない、 というのが彼らの考えだ。
どのビジネスにも当てはまることだが、同業他社 にはない際立った商品を並べることが利益に繋がる。 「ただし日本の消費者は品質にもうるさいですよ」 と語るのはアロック・ラキアンさん。『インフィニティ・ ダイアモンド』のオーナーだ。
「私どもの顧客層は主に二つに分かれます」とラ キアンさんはいう。「まずは大きなできごとがあった のでその記念に買うというお客さま。婚約とか記念 日、あるいは後々まで記憶に残したいできごとがあっ たときにお求めになります。もう一方は40代の女性。 自由になるお金を多少お持ちで、自分へのご褒美と してお求めになります」
指輪、ブローチ、ネックレスなど、ダイヤをあし らった装飾品を所有することに、「日本女性の誰もが 心躍らせてきた」が、若い女性のあいだではその考 えも変わりつつあるかもしれない、とラキアンさんは 考えている。
いずれにせよ最高級のダイヤが使われるのはペン ダント、指輪、ブローチだとラキアンさんはいう。 日本女性にネックレスとバングルが人気薄なのは、 身につけてもあまり目立たないからで、伝統的にこ の二つは控えめなエレガンスに合ったアクセサリー なのだそうだ。
カットに関して言えば「ラウンドカットがいまだに一
番」だという。「自分で買うにしても、プレゼントされ
るにしても日本の女性が手にする最初のダイヤは大
半がラウンドカットです」とラキアンさんは続ける。
それに飽きると次は大抵、洋なし型か、プリンセス
カットの指輪を手にするのだという。「ダイヤは今も一番の人気アイテムですが、トレ ンドとして女性はカラフルなジュエリーを身につける ようになっています。楽しいからつけるのであって、 必ずしも高価なものが欲しいわけではないのです。 自信に繋がる新しいなにかを発見したり、目的を一 つに絞った考え方をする女性が若い世代に増えてい ることの反映だと私は見ています」
『ヴェリタス』の代表取締役専務を務める黒田祐子 さんも同じ意見だ。
「若い女性に人気があるのは大きなリングイヤリン
グです。去年はシャンデリアタイプのイヤリングが
流行だったのですが、今年は大きなリングイヤリン
グに、カラードストーンで飾ったペンダントスタイル
のネックレスを組み合わせるのが人気です」と黒田
さんはいう。「わざわざ洋服を買わなくても、ペンダントひと つあれば簡単にまったく別の装いに見せることがで きるのです。私たちはさきごろ、部分ごとに違う、 新しいデザインのネックレスとペンダントのライン ナップを発表したところです。これなら幅広く使えるし、その日の気分や洋服に合わせて変えることが できます」
今人気を集めているのは、ローズクォーツ、ラピ
スラズリ、あるいはブラックダイヤモンドをはめ込ん
だハンドメイドのジュエリーと、オーガニックな形を
したアイテムだ。この種のコスチュームジュエリーの
台座は10カラットのピンクゴールド、マットゴールド、
あるいはシルバーで作られており、黒田さんによれ
ばこうした素材を使うのは肌色に映えて「暖かみ」を
放つのが一つの理由だという。確かにジュエリー業界には逆風が吹いたが、黒田 さんは短期的な現象と捉えて、悲観はしていない。 「経済の成り行きがどうあれ、デパートの1階はや はりジュエリーと化粧品売り場です。これまでもずっ とそうでした。このことはジュエリーと化粧品が、女 性が女性として人生をエンジョイするのに欠くことの できないものであるという証明なのです」
丸真珠』の強力なセールスポイントになっているの はまったく同じジュエリーは一つとして存在しない ことだ。
「当社の製品はすべて私の両親がデザインしたオ リジナルで、過去40年ずっとそうしてきました。原 石はドイツで買い入れ、それをネックレスやイヤリン グに組み入れます。しかし私の両親はまずデザイン をして、それに合わせて加工するという伝統的な方 法を採りません。原石をひとつずつ眺めて、石の 個性にあったデザインを進めていくのです」
結果として、桂五さんの両親であるギャハルト・
ミルワルドさんと栗林衣子さんの作品は世界でひと
つだけのものになるのだという。オーストラリアで南洋真珠の養殖事業を始めたこ とに端を発して今日にいたる同社は、すでにオフィ スと工房を構えている二子玉川にショップをオープ ンする予定だという。
「もし一番好きな宝石はと聞かれれば、ラピスと 答えます」と桂五さ ん。「この石の色と歴 史ゆえですね。実は ラピスは最古の宝石 の一つなのです。そ れに大半がアフガニ スタンで産出されま すので、見つけるの が非常に難しくなって います」





