タイラー基金、“シャイン・オン!” プログラムを展開

by Alana Bonzi
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小児ガンの子どもたちとその家族に希望を

息子タイラーを幼いときにガンで失ったキンバリー・フォーサイス-フェリスとマーク・フェリス夫妻は、タイラーのきらめきを、そして同じくガンの犠牲となった多くの子どもたちのきらめきを輝かせ続ける方法はないかと探し求めた。そして2006年、タイラー基金(TF)をスタートさせる。

同基金が行っているもっとも重要なプログラムは、“シャイン・オン! カウンセリング&サポートプログラム”。臨床心理士が、入院中の子どもたちとその家族を支援するプログラムだ。

臨床心理士のチーフである船木聡美さんは、病院で治療中の子どもと家族にずっと寄り添う。入院したときから退院まで、すぐそばでサポートするのだ。他の臨床心理士からの協力を得て、船木さんはお母さんグループを取りまとめ、両親のためのカウンセリングを行い、子どもたちには遊びをコミュニケーションの手段として行う心理療法、プレイセラピーを施している。

「長期入院は子どもにとって退屈なだけではなく、受け身な生活になってしまうものです。いつでもだれかから、この薬を飲みなさい、あれを食べなさい、この治療を受けなさい、と言われているのですからね。病院では子どもたちが自分の生活について自分で決めるチャンスなどほとんどないのです。私たちはただ子どもに気晴らしをさせるだけではなく、自分でなにかをできる力を与えるプログラムを目指しています」。こう語るのは、TFのエグゼクティブ・ディレクター、キンバリー・フォーサイス-フェリスさんだ。

tylerfoundationTFには“One T-shrt, One Life”と呼ばれるプログラムがある。「子どもたちは入院中に、自分のためにTシャツ用の絵を描くのです。プリントするのも1枚だけ。たった1枚だけのTシャツが、その子のかけがえのない貴重な命の象徴になるのです」と船木さんは説明する。

8月にはもうひとつのプログラム「ビーズ・オブ・カレッジ」がスタートする。米国から導入されたこのプログラムは、がん治療のなかでもっとも辛い時期を乗り切きれるよう、子どもたちをサポートすることに主眼を置いている。

日本ではTFが同プログラムの窓口となっており、8月には茨城県立こども病院で開始される予定だが、早くも他の病院から実施の依頼が数多く寄せられている。

非営利法人であるTFが発展拡大しているのは、ボランティアとスポンサーのおかげだ。設立当初からさまざまなスポーツ界の著名人から支援を受けている。最初の資金集めには、クリケットの国際的スター選手が協力してくれたし、昨年4月には読売ジャイアンツのMVP、小笠原道大選手が“シャイン・オン! ハウス”の公式オープニングセレモニーに出席した。

シャイン・オン!ハウスは、ガンの子どもとその家族のサポートに必要なすべてを完備した施設である。その内容は、ガンで苦しんでいる兄弟を持つ子どもたちのケアから始まり、容体が急変した子どもの両親が使う宿泊施設、さらには入院中や退院後の子どもたちが安全に楽しく過ごせるイベントスペースにいたる。

小笠原選手は、冷蔵庫や自転車を始めとする品々を多数寄付している。彼がむかし使ったバットは、パズルやハウスのドアにつけるネームプレートにリサイクルされている。それだけではない。

彼はこれまで国立成育医療センターのガン病棟を3度にわたって見舞っている。とりわけ最近の病棟訪問は、周囲の人々の胸を打った。

「小笠原選手は彼の大ファンの子どもとゲームをしました。その数時間後、その子は静かに息を引き取ったのです」とフォーサイス-フェリスさんは打ち明ける。「小笠原選手は本当に素晴らしい人です。とても思いやりがあり、私たちがやろうとしていることを完全に理解してくださっている。見返りというものをまったく考えない人です」。

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来る10月2日、タイラー基金は年に一度の募金イベントを開催する。ここで得られた収益は、すべて“ シャイン・オン! セラピードッグ”プログラムの実現に充てられることになる。

セラピードッグ・プログラムとは日本で初めての試みだが、フォーサイス-フェリスさんに主旨を聞いてみよう。「私が初めて本物のセラピードッグに会ったのは2年前のこと、場所はハワイのカピオラニ・メディカルセンター・フォー・ウィメン&チルドレンでした。タッカーという名前の犬でね。それ以来、このコンセプトに夢中なのです。

そのメディカルセンターでは、患者の子どもたちがこんな話をしてくれました。ICUで身動きもできなかったときに、アニマル・セラピードッグのタッカーがベッドに飛び乗って一緒にいてくれたというのです。

ある女の子など、タッカーが自分の足に寄り添っているのを感じるのが楽しみで、毎日が待ち遠しくなり、戦い続けようという気持ちになったのと話してくれました。セラピードッグの考えは日本では新しく、導入までに長い時間がかかりました。でもようやく受け入れ態勢が整ったのです」。

言うまでもなくこのイベントのゴールは募金集めだが、いつものように、タイラー基金ではゲストとサポーターに素晴らしく楽しい夜を過ごしてもらいたいと望んでいる。

“Vegas Extravaganza”と銘打たれた今年のイベントは、六本木のグランド ハイアット 東京で開催される。数々の賞を受賞している作詞家サー・ティム・ライスが、アカデミー賞受賞作曲家アラン・メンケンとの共作により、このイベントのために作った2曲を披露する予定だ。この二人のコラボレーションにより、きっと思い出深い夜になることだろう!


フェリスさんはこう語る。「皆さん、様々に素晴らしい動機からサポートをしてくださっています。とりわけ、なんらかの形でガンにより命が危機にさらされたからという理由でサポートされる方が多いですね。けれども私は皆さんにもう一度呼びかけたい。私たちはここ日本で、ガン治療の実態を変えたいと考えているのだと。私たちの活動を見てもらうよう、スポンサーとサポーターの皆さんをお招きしています。既存のシステムをどう変えようとしているかを見て、子どもたちに会い、シャイン・オン! ハウスを見学し、イベントに参加してもらいたいからです。


タイラー基金は支援している子どもと家族にガンと戦う勇気を与えるだけではなく、患者を中心としたコミュニティを勇気づける組織でもありたい、私はそのように考 えています」。


詳しくは www.tylershineon.org を参照。