イタリア料理よ、永遠なれ

by Julian Ryall
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この街の人々は味に関してはちょっとやそっとでは感心してくれないし、食べることに対して実に真剣な態度で臨む。だから、赤と白のギンガムチェックのテーブルクロスを敷いて、キャンティのボトルにキャンドルを立てれば済んだ時代から、イタリア料理も大きな進歩を遂げた。

カルボナーラ、ピザ、ハウスワインを出すトラットリアスタイルのお店は、これからも東京で一定の地位を占めるだろうが、その一方で、東京人はそろそろ今あるイタリア料理の選択肢に満足できなくなっている。

「私たちは安い店ではありません。でもそれは素材をすべてイタリアから運んでいるからなのです。例えば日本では買えないトマトをお出ししています。究極のお食事を体験していただけるサービスを提供しているのです」。こう語るのはステファノ・ダル・モーロさん。丸ビル36階から東京を一望するアンティカ・オステリア・デルポンテのディレクターだ。

イタリアで2番目にミシュランの三つ星に輝いたリストランテは、東京の支店にもその伝統を確実に再現している。複雑なモザイクでできたエントランスホールのフロアは、イタリアから呼んだ職人の手仕事だ。シャンデリアもやはり丹誠込めて作られたベネチア製の最高級品で、ふたつある個室のひとつは15世紀の石造りの暖炉と、大理石張りのテーブルがしつらえてある。italian

「オーナーのエツィオ・サンティンは40代になって初めてシェフになった人ですが、伝統的なイタリア料理にスパイスやフォアグラといった新しい技法と素材を取り入れ、素晴らしい食体験を新たに創造したのです」とダル・モーロさんは語る。夏を迎えようとする今、メニューに変更を加えているところだ。エビやカニがいちばんおいしい時期で、注文も多く出る。それから数カ月経つと、ポルチーニ、白トリュフ、黒トリュフがメニューに登場してくるのだ。

東京のレストランシーンに最近登場した話題の店が、西麻布にあるマリオ・フリットリさんのマリオ・イ・センティエリ。日本に住んで20年以上というフリットリさんは昨年の8月、44席のリストランテをオープンした。「長い時間がかかりましたが、私は幸せ者です。食べ物は私にとってパッションですし、好きなことを仕事にできたのですから」とご本人。

「イタリアと日本では、人々が食事に真剣に取り組むという点で似たところがたくさんあります」とフリットリさんは言う。「文化の深い部分に根を張っており、四季にも密接に結びついています。生まれたときからお母さんに、ものの食べ方とか、お互いに味を引き立たせる食べ物、例えば魚には白ワインが、肉には赤ワインが合うといったことを教えられるのです」。

スタッフがパンとアイスクリームを作るマリオ・イ・センティエリの人気メニューは、甘エビとアボカドの冷製フェデリーニと、ピスタチオのクリームブリュレ。旬のイノシシとカキも非常に喜ばれている。

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対照的に、1992年に日本進出を果たしたビーチェ東京は、定番メニューである伝統料理、仔牛ロースのコストレッタミラノ風で有名だ。創業1926年のビーチェは、現在世界中に26店舗を展開し、東京の直営店は汐留にある。

「私たちが追求するのは革新性ではなく、クオリティです」。代表取締役のアンジェロ・ヴィズィガッリさんはこう言い切る。

「私たちは料理の世界で83年ものあいだ、確固たる存在であり続けています。今後もこの店の哲学が変わることはありません」。

エノテカピンキオーリは料理だけでなく、食する空間も同じく重要だと考えている。なるほどこの店を訪れた人は、フィレンツェにワープしたような気分になるだろう。


「アンティーク家具と調度品は直接輸入し、店内にフィレンツェの雰囲気を再現しました」。こう語るのは総支配人を務める坂間英明さんだ。この店がストックしているワインは実に4万本、『ワインスペクテーター』誌から、コレクションの充実ぶりを評価されたアジアで最初のレストランにもなった。

「メニューは年に4回変えますが、厳選した旬の素材だけを使います」と坂間さんは続ける。「ごく伝統的なものから発想を得ていますが、そのままの形でお出しすることはしません。それでは日本のお客様の味覚と調和しないからです。私たちには進化が求められています。究極の調理方法を見つけ出し、様々な調理法を上手に使いこなすことが私たちの使命です」。

アンティカ・オステリア・デルポンテ
電話: 03-5220-4686

ビーチェ東京
電話: 03-5537-1926

エノテカピンキオーリ
電話: 03-3289-8081

マリオ・イ・センティエリ
電話: 03-6418-7072