ちょっと変わった休日を過ごしたいと思ったら、物言わぬ小さな生き物や、ラーメン、アニメを求めてニッチな殿堂を訪れてみてはいかかがだろう?必ずやうっとりするようなコレクションに会えることだろう。
宮崎駿氏は入場者に自分の美術館で迷子になって欲しいと考える。お決まりの順路はここにはない。階段と通路が交錯する三鷹の森ジブリ美術館に一歩足を踏み入れた瞬間、大人も子供も自分の足で探検してみようという気になるのだ。
日本でもっとも有名なアニメ映画の監督が作ったこの美術館は、何よりも型にはまっていないところが素晴らしい。宮崎監督の作品『となりのトトロ』に登場するネコバスのぬいぐるみの中で子供たちは遊ぶことができる。ルーフガーデンでは『天空の城ラピュタ』に登場するロボット兵士がそそり立っている。1階の展示室は「映画が生まれる場所(ところ)」と呼ばれ、まさに子供たちの夢そのものだ。
デスクの上にはカメラ、模型の飛行機、おもちゃのクルマ、小さな仕掛けが一杯詰まった箱が乱雑に置いてあり、映画監督が絵コンテを描く環境そのものになっている。天井からは翼竜プテラノドンが吊り

三鷹の森ジブリ美術館
下げられ、壁には、『魔女の宅急便』、『もののけ姫』、『ハウルの動く城』など、宮崎監督の有名な作品のイラストやスケッチが所狭しとかかっている。 宮崎監督は2003年に『千と千尋の神隠し』でアカデミー賞を受賞しており、最新作『崖の上のポニョ』は昨年、封切られるやたちまち大ヒットした。
この美術館がオープンしたのは2001年10月のこと。監督はそれに先立って「楽しくてハートがリラックスできる」美術館を作りたい、「楽しみたい人は楽しみ、考えたい人は考え、感じたい人は感じられる」場所を作りたいと語っていた。 監督はとりわけ映画の制作作業を見せることに熱意を燃やした。それで入場者に元気を与えたいと考えたのだ。
監督の志が達成されたことは明らかだ。現在この美術館は1日あたりの入場者に2400名の上限を設けており、チケットは前売りのみで、しかも入場日時が指定されるのである。
美術館内にはシアターもあり、短編映画が上映されているほか、カフェと売店も併設されている。また、戸外のパティオには実際に動く手押しポンプがある。
日本では食事は厳粛な行為と受け止められている。その日本でもっとも重要な食品といったらラーメンを置いてほかにないだろう。器から暖かい湯気を上げる麺、チャーシュー、ゆで卵、野菜を始めとする数々のトッピング。日本でラーメンを初めて食したのは江戸時代の水戸藩主、水戸黄門だった。しかしラーメンが日本の食卓の主役になるのは、中国から料理人が大量に来日した1900年頃のことだった。日本中、街という街が自分たちだけの味を作ろうと競った。日本はそもそも革新に飽くことない情熱を燃やす国。その情熱と食物を大切にする気持ちが組み合わさったのだから、1958年にインスタントラーメンが初めて日本で発明されたのは、むしろ当然の結果だった。
新横浜ラーメン博物館はラーメンに関するあらゆるものに敬意をささげている。製麺機や、どんぶりを始め、日本全国約20万軒のラーメン屋の軒先に掛かっていた暖簾、さらには世界中から集めたインスタントラーメンのパッケージを展示している。

新横浜ラーメン博物館
日本でラーメンがこれほど人気があるのには数々の理由があるが、大きな理由のひとつが安い割りに量がたっぷりあることだ、とラーメン博物館は見ている。それはそれとして、ラーメンには日本人が食べ物に求める3つの要素を備えている。炭水化物、温かさ、そして油っこさだ。

新横浜ラーメン博物館
しかも日本人のラーメンに対するこだわりは半端ではなく、札幌で食べるラーメンは、函館、盛岡、大阪のどのラーメンともまったく違う。どの街も、他とは違う味でひときわ目立とうと日々努力しているのだ。
目黒寄生虫館それにしてもラーメンにまつわる展示物を眺めているとお腹が空いてくる。館内には1958年の労働者階級が住む町並みがリアルに再現されている。来館者は8軒のラーメン店から好みの味を選ぶことができる。どの店もよそでは味わえない味が自慢だ。
この一画には飲み屋と駄菓子屋も軒を連ねているが、“通”が群がるのはやはりラーメン店だ。ラーメン博物館は午後11時まで開館しており、深夜族をも迎えている。こうなると博物館なのか、テーマパークなのか、はたまたショッピングモールのフードコートなのかよくわからなくなる。 亀谷了医学博士が目黒寄生虫館を創設したのはおよそ50年前のことで、当時、日本の風土病だった寄生虫の危険を国民に知らせるのが目的だった。同博物館の広報担当、亀谷誓一氏によると年間5万人の来館者があり、今はホルマリン水溶液に満たされた広口ビンに収まる何百という寄生虫を感嘆の目で眺めるのだという。
小さな生き物の中には動物の生きた組織をくりぬいて侵入したものもあるし、人体に著しい奇形をも
たらしたものもある。館内で最高の場所を与えられているのは1匹のサナダムシ。幼虫が感染しているマスを食した横浜在住の男性の下腹部内でほぼ9mの長さにまで成長したのだった。
「好奇心から当博物館を訪れる方がほとんどです」と亀谷氏は語る。「恐怖感を持たずに寄生虫について考えてみてください。寄生虫の驚くべき臨機応変な生き方から学ぶものがあると思います」。❖
株式会社新横浜ラーメン博物館
〒222-0033 横浜市港北区新横浜2-14-21
Tel: 045-471-0503
www.raumen.co.jp
三鷹の森ジブリ美術館
〒181-0013 東京都三鷹市下連雀1-1-83
Tel: 0570-055-777
www.ghibli-museum.jp/index.html
目黒寄生虫館
〒153-0064 東京都目黒区下目黒4-1-1
Tel: 03-3716-1264
www.kiseichu.org





